都市景観に深み・個性をもたらす「名古屋市都市景観重要建築物」の指定スポット10選

名古屋城をはじめとした歴史的スポットが各地に存在している愛知県・名古屋市。市内には街を代表する有名人「三英傑」に関係したスポットから近代の建築物など幅広い時代のスポットが残り、この地の主要観光スポットとして親しまれています。今回はその歴史的スポットの中でも「太平洋戦争を乗り越え、都市景観に深み・個性をもたらす」ものとして名古屋市が指定した「名古屋市都市景観重要建築物等」に選ばれたスポットの一部を見てみましょう。

展望台からは名古屋の光景「東山給水塔」

展望台からは名古屋の光景「東山給水塔」

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地下鉄東山線・覚王山(かくおうざん)駅から徒歩約15分の東山給水塔(ひがしやまきゅうすいとう)は、1930年(昭和5年)3月に完成した名古屋最古の給水塔。
1985年(昭和60年)には厚生省「近代水道百選」、1991年(平成3年)には第2回の名古屋市都市景観重要建築物に選定。

名古屋市水道部(現在の名古屋市上下水道局)・成瀬薫の設計による給水塔で、高さは37.85m。
1973年(昭和48年)2月まで配水塔として使用されたのち、1979年(昭和55年)から300立方メートルの水を蓄えた災害時用の応急給水施設に。
今も名古屋市民の安全守る重要な役割を果たしているのです。

現在の施設には尖塔状の屋根が設けられていますが、こちらは1983年(昭和58年)の改修時に設けられたもので、建設当時は平らな形。
通常は内部を見ることはできませんが、毎年春分の日と8月1日(水の日)は一般公開され見ることが可能。
展望台からは「東山スカイタワー」や「「ナゴヤドーム」など名古屋の名所が見えるようになっています。

昭和初期の別荘「東山荘」


地下鉄桜通線「瑞穂区役所駅」から徒歩約12分の東山荘(とうざんそう)は、1926年(昭和元年)から約10年かけて建築された別荘。
綿布問屋をしていた伊東信一の旧別荘であり、「伊東家の山荘」であることから東山荘と命名。

1936年(昭和11年)に伊東が亡くなったあとに「市民に公開してほしい」という伊藤の遺言に基づき名古屋市に寄贈、1939年(昭和14年)10月3日に公園として一般開放。
太平洋戦争の激化による公開停止を経て1967年(昭和42年)から「名古屋市の人口200万人突破記念事業」として修復工事、翌1968年(昭和43年)4月1日から再び一般公開。
回遊式林泉庭園、茶道・華道などの伝統的行事を行う茶室・和室・洋室などがあり、庭園は無料見学が可能。
かつては「清雪庵」と呼ばれる茶室もありましたが、1948年(昭和23年)に熱田神宮へ移築。

名古屋市都市景観重要建築物等としては1991年(平成3年)10月4日に荘門と塀、2011年(平成23年)には主屋が「名古屋市認定地域建造物資産」、2013年(平成25年)には主屋と正門及び塀、庭門及び塀が国の登録有形文化財に登録。

有松・鳴海絞りの街「有松の街並み」

有松・鳴海絞りの街「有松の街並み」

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名古屋鉄道(名鉄)・有松駅付近にある「有松の街並み」は1984年(昭和59年)に名古屋市の「有松町並み保存地区」、1992年(平成4年)に「名古屋市の都市景観重要建築物等」に指定されている歴史的街並み。
南北朝時代の1340年(興国元年)に開拓された「桶狭間村」と「鳴海村」の間に1608年(慶長13年)に開拓された村。
開拓当初は桶狭間村の一部として扱われていましたが、1625年(寛永2年)に桶狭間村から分立。

村は農作地が少ない場所にあったため、副業として絞染を工夫することになると、これが「有松・鳴海絞り」として発展。
これにより村は発展し裕福となります。
その後1784年(天明4年)に大火に見舞われてしまい村の大半が焼失、現在残されている建物は火災以降に形成された漆喰による塗籠造、瓦葺の建物に。
建物では有松を代表する建物で当時の防火対策を窺い知れる「服部邸」、その隣にある「服部良也邸土蔵」などが大きな見どころとなっており、このほか有松町には織田信長と今川義元による「桶狭間の戦い」古戦場も。
この地方の歴史を知る旅が楽しめますね。

名古屋の産業史で重要なスポット「庄内用水元杁樋門」

名古屋の産業史で重要なスポット「庄内用水元杁樋門」

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庄内用水元杁樋門(しょうないようすいもといりひもん)は名古屋市守山区瀬古(せこ)にある樋門(ひもん)で、1993年(平成5年)に「名古屋市都市景観重要建築物等」に指定された門。
堀川の水源となる庄内川(庄内用水頭首工)から取水した水の樋門となっています。

樋門(ひもん)とは「用水の取り入れや排水などのため、堤防を横切る暗渠(あんきょ。
地下に設けた水路)にして設ける通水路」を指し、現在ある門は1910年(明治43年)改修時に造られた石造りのもの。
ここで採用されている技法は「人造石工法」と呼ばれるもので、日本で昔から採用されていた「たたき(土間などで見られる土を固める技法)に愛知県碧南市のたたき職人・服部長七が改良を加えて生み出した技法。
当時は建築資材としてセメントが輸入されるようになった時代でしたが、値段が高価であったために簡単には買えなかったためにこの方法が生み出されたのでした。

人造石を使用した樋門としては名古屋で唯一現存するものとなっており、名古屋における産業の歴史では重要なスポットとなっています。
住所:名古屋市守山区瀬古2-228

近隣には桜の名所「黒川樋門」


黒川樋門(くろかわひもん)は名古屋市北区辻町にある樋門で、庄内川から黒川(堀川)へ用水を引くため設けられた門。
1992年(平成4年)10月5日付で「名古屋市都市景観重要建築物等」に指定されています。

3連の樋門に2つの石段が設けられた構造で、樋門の上は人が通行することが可能。
設けられたのは明治時代とされ、かつては「庄内用水元杁樋門」と同じように「たたき」技法を改良した「人造石工法」を採用していましたが、その後はコンクリート製の「サイフォン式」に改築。
現在残された門は石造の樋門に1980年(昭和55年)に復元された木造の上屋を設置。
住所:名古屋市北区辻町字古新田

また近隣には御用水(名古屋城堀への取水路)が埋め立てられた後に整備された全長約1.6kmの「御用水跡街園」があり、園路の切り石には「名古屋市電」の路線敷石を使用。
春は桜の名所、夏は涼む場として市民から親しまれています。

2つの歴史的建築を持つ「鶴舞公園」

2つの歴史的建築を持つ「鶴舞公園」

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名古屋を代表する公園の1つである名古屋市昭和区「鶴舞公園」にも歴史的なスポットがあります。
普選記念壇 (ふせんきねんだん)は1925年(大正14年)に施行された「普通選挙法」を記念して1928年(昭和3年)に名古屋新聞社(現・中日新聞社)から寄贈された野外劇場で、ステージ上には普通選挙の基本精神「五箇条の御誓文」や建設の趣旨を刻んだ青銅版、木製ベンチなどを設置。
現在はコンサートをはじめとしたイベント会場として利用されています。

もう1つの「噴水塔」は1910年(明治43年)に建設された大理石の噴水塔で、第10回関西府県連合共進会開催を記念して建設されたもの。
設計した鈴木禎次(すずきていじ)は名古屋を中心に活躍した建築家で、豊田喜一郎邸などの設計を担当した人物。
ドリス式(古代ギリシア建築における建築様式)の柱の周りに岩組の池を配したデザインは公園のシンボルとされる美しさで、1986年(昭和61年)には普選記念壇とともに「名古屋市指定有形文化財」に指定されています。

付近は区唯一の歴史公園「松重閘門」

付近は区唯一の歴史公園「松重閘門」

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松重閘門(まつしげこうもん)は名古屋鉄道・山王(さんのう)駅から徒歩約10分の名古屋市中川区山王にある門。
1932(昭和7年)年に「東洋一の大運河」中川運河が開通する前の1930(昭和5年)年に完成した高さ約20メートルの塔2棟で構成されています。

閘門(こうもん)とは「水位の異なる河川や運河、水路の間で船を上下させる装置」で、塔の内部には鋼板を動かすために使う錘(おもり)を搭載。
両側に塔を建設する構造は閘門としては珍しいもの(多くは扉式のもの)。
その後通行船舶量が減少したことから1968年(昭和43年)に閉鎖されたのち1976年(昭和51年)に公用廃止。

1986年(昭和61年)には付近が中川区唯一の歴史公園「松重閘門公園」として整備され、同年には「名古屋市有形文化財」、1993年(平成5年)名古屋市都市景観重要建築物等に指定。
周囲に設けられた10基の照明灯が塔を照らす光景は絶景で、この光景から「水上の貴婦人」との愛称も存在。
そのエレガントさはぜひ見ておきたいポイントですね。
住所:名古屋市中川区山王1

Junya Higashi

Writer:

これまで旅行に行った土地は鹿児島・霧島や韓国・ソウルなど。世界の土地や風習のことなど、自分の知らない世界を調べて見るのが好きです。旅行経験やライター活動で得た知識が、これから旅行を楽しむ人の役に立てば大変嬉しく思います。どうぞよろしくお願いいたします!

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