アメリカ人に直接聞いてみた!チップを払う6つの理由

アメリカ文化の中に深く浸透している「チップ制度」ですが、最近、チップ制度反対の意見や、チップ制を廃止したレストランの話題を耳にするようになりました。果たしてアメリカ人は、チップ制度についてどう考えているのでしょうか。今回は、米国在住者の筆者が、周囲のアメリカ人の話をもとに考察した、彼らがチップを支払う理由をご紹介します。






感謝の気持ち

感謝の気持ち
チップは、「Gratuity (心づけ)」とも呼ばれ、「サービスに対する任意の支払い」というのが本来の意味。
自由の国アメリカらしく、各々の価値観でサービスを評価し、それに見合った報酬を支払おうという考え方です。
サービスを施すほうは、チップが少しでも多くもらえるように懸命に働くし、受ける側も感謝の気持ちを込めて「心づけ」を渡すことで、双方ともにサービスの授受を笑顔で終えるというのが、いかにもアメリカらしいチップ制度の特徴であり、利点です。

任意ではなく義務?

任意ではなく義務?
チップが「任意」なら、人々は「満足した時にだけ」チップを払うのでしょうか。
彼らの答えは、“NO!”です。

アメリカ人の友人たちは、ウェイターの態度や働きに多少の不満があっても、必ずチップを支払います。
どうやらチップは、「任意」ではなく「義務的な」もので、状況にかかわらず常に支払われているもののようです。

「チップの支払いは、常識であり、義務です。」と言う根拠には、アメリカの賃金システムがあります。
アメリカでは、チップを見込まれる職業について、最低賃金をはるかに下回る低い賃金で雇用する事が法的に認められている州も多く、想定通りのチップ料金が入らないと、最低賃金に満たないこともあるとのこと。

しかも私たちが支払うチップは、全額が担当のウェイターの手にそのまま渡されることは稀で、(レストランによってシステムは違いますが)、ウェイターやバーテンダーなど、フロアで共に働く人たちと分割する場合がほとんどで、チップ分にも税金が課されます。

「チップ代が払えないなら、レストランに行かなければ良いと思う。」とは、ある友人の言葉です。
生活にゆとりがあるから出かけている外食で15-20%ほどの追加料金が惜しいのであれば、チップの必要がないファーストフードで良いのではないかと言うのです。

助け合いと恩返し

助け合いと恩返し
常識やマナーなどの社会的プレッシャーに従ってチップを(時に渋々?)払っている人々よりも、心から協力的・意欲的にチップ制度を支えているのは、かつて自分や家族がチップ制度の恩恵を受けたことがある人たちです。

学生時代にウェイトレスのアルバイトをしていた友人は、「メニューの料金には、サービス料金が含まれていないのだから、サービスに対する料金を追加するのは当然だし、私もチップに助けられたので、今度は私が助ける番だと思うのよ。」と言います。

もちろん、チップをもらった経験がない人でも、懸命に働いている人たちの生活を支えたいという、助け合いの精神でチップを支払う人が多くいるのは、さすが博愛精神が根強いアメリカです。

良い関係を築くため

良い関係を築くため
行きつけのヘアサロンのように、その後も同じ人からのサービスを継続して受ける場合は、一期一会のサービスとは状況が違います。
相手と良い関係を築き、次回以降のサービス内容がさらに充実するよう期待してチップを渡すのは、とても一般的です。

ヘアサロンやネイルサロンなどで表記されている料金は、必要経費しか含まれていないことが多く、チップこそが彼らの収入となるとのこと。

腕の良いヘアスタイリストやネイリストに出会った時には、引き続き歓迎される客となり、より丁寧な施術をしてもらえるよう、チップを払います。

 







気まずくなるのを避けたい

気まずくなるのを避けたい
ある日、レストランで食事を終えて駐車場を歩いてると、私たちの前にレストランを出た4人連れのところへウェイトレスが走っていき、「私のサービスの何が気に入らなかったのですか。」と、悲しそうな表情で聞いていました。

ウェイトレスも思い余ってのことでしょうし、言われるほうも気まずい経験です。
このような状況を避けるために、お金がなくても、サービスに不満があっても、常識の範囲内のチップを支払う人がいるのも事実です。

格好良いところを見せたい

格好良いところを見せたい
最後に聞こえてきたのが、ズバリ、”To show off!(格好良くみせるだめさ!)” とは、若い男性の意見。

ガールフレンドとのデート中、格好良くチップを支払っている彼の様子に、彼女が感心してくれるかも!?

チップ制度はなくならない

最近では反対意見もあるチップ制度ですが、今後もアメリカで廃止されることはないだろうと言われています。
チップ制度に馴染みがない私たちは、チップ制度の仕組みや人々の気持ちを知ることで納得してチップを払い、アメリカ滞在をより友好的で充実したものとできるのではないでしょうか。

なお、最近のレストランでは、(特に8人以上のグループの場合)請求書に“Gratuity” として自動的にサービス料が加えられている事があるので、よく確認してからチップを払ってください。

photo by iStock
Emi O.

Writer:

カリフォルニア州在住9年。家族は日本人の夫と3人の娘たちと犬二匹。 海外で異文化に親しみ多くの人々と深く知り合えたことは、日常の生活を楽しく豊かにしてくれただけでなく、日本の良い所を認識し自分自身の生き方や考え方を見つめ直す機会を与えてくれました。~人々が何に興味を持ち、何を考え、どのように暮らしているのか~ をテーマに、耳寄りな情報をお届けします。

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